今日も赤のれんをくぐると中から女将の声が少し甲高久「いらっしゃい」と聞こえてくる。
いつものうれしい響きである。カウンターに腰を掛けると一杯飲むのが早いかきのこ談義に華を咲かせる。今宵はアミガサタケ(網傘茸・モリーユ)の思い出を・・・
春のきのこと言えばアミガサタケである。日本ではあまり馴染みのないきのこではあるが、海外では特にフランス料理ではモリーユ(モレル)と呼ばれ、人気の高級食材として必ず使われるきのこで近頃若い女性に秘かに人気のあるきのこである。
アミガサタケは4月末頃から5月初めに、公園・庭先・道端などに生えるきのこで主に桜並木の周辺によく出るのである。アミガサタケにはアミガサタケ・トガリアミガサタケ・チヤアミガサタケなど数種類があり、生食として食べるのは中毒を起こすのでこの食べ方は厳禁ですぞ。必ず火を通して食べるように。また、同じアミガサタケの中には猛毒を持っているシャグマアミガサタケと言うきのこがあるが・・・これがアミガサタケとは似ても似つかぬ顔をしているのだよ。
このきのこには特に思い出があって・・・それは30年ほど前のことで、研究所の中できのこ党を結成する切掛けとなったきのこなのだ。アミガサタケの大ファンである教授邸宅に行った時の話だが。
きのこ愛好家の仲間達が集まりきのこ談義にワイワイと盛り上がっていた最中、夜中の12時頃に教授が食品庫から「これはフランスのお土産」と称してシャグマアミガサタケの缶詰を手にして入ってきた。
一瞬みんなの会話が止まった。さらに教授は奥様より食べるのは禁止とされとると言いながら、我々に見せてくれた。みんなで食べれば怖くないなどと、肝試しよろしく我々に盛んに薦めるではないか。
フランスでは食べているかもしれないが、実際に目の前にすると思わず固唾を呑みこんでしまったことを覚えとる。教授はみんなの反応を嬉しそうに眺めながら「ここに集まったきのこ愛好家に諸君、本日を期に研究所内にきのこ党を結成しよう」と発声され、一同は賛同した。このきのこの名前を聞くと、なぜかドキドキしながら研究所にきのこ党が結成されたことを思い出すのである。ただし、酔っていたので食べたかどうかは記憶にないが、小生30年過ぎた今も健在である。
お酒の量もメーターが上がり良い気分になりましたところで、本日はこれにて・・・(徹)
🍄アミガサタケの見つけ方🍄
このきのこは桜の花が散り葉桜になったろから、この木の側にゴロゴロ顔を出してくる。この頃の小生は気持ちが高ぶってくるのを覚え、桜並木の周辺によく散策に行く。
皆さんも上ばかり見ないでこの時だけは「きのこ目」をして根元を見て歩き探すのも良いですよ。そうでないと見逃がしますよ。枯葉に交じってピョコッと写真のように顔を出しています。探してみてくださいな(^^♪
アミガサタケを使ったお料理♬
猛毒!!シャグマアミガサタケ